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東京高等裁判所 平成2年(ネ)3732号 判決 1991年3月14日

東京都大田区萩中二丁目七番九号

第二北海荘

控訴人

原田正幸

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

被控訴人

右代表者法務大臣

左藤恵

右指定代理人

渡辺光弥

稲嶺博之

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は、控訴人に対し、金一〇〇万円を支払え。

3  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

4  仮執行の宣言。

二  被控訴人

主文第一項同旨

第二事案の概要

事案の概要は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決事実及び理由の「第一 事案の概要」の記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一枚目裏九行目の「原告は、」の次に「電気工で、独身であり、」を加え、第一〇行目の「住所に居住し」を「住所(第二北海荘の二階部分)に居住し、昭和六一年四月ころからは、アルバイト的に電気工の仕事をし」に改める。

二  同二枚目の表二行目の「六月」を「七月」に、同五行目の「第一号証、第八号証、乙第三、第四」を「第一、第二、第八、第二〇、第二二号証、乙第三ないし第五」にそれぞれ改め、同九行目の「ものであり、」の次に「ことに、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律三条の二の「有線ラジオ放送業務を行う者はその設置に関し必要とされる道路法第三二条一項・・・の許可その他法令に基づく処分を受けないで設置されている有線電気通信設備又は所有者等の承諾を得ないで他人の土地若しくは電柱その他の工作物に設置されている有線電気通信設備によって有線ラジオ放送をしてはならない。」との規定に違反している点(道路法三二条の許可手続は、占用する前に行うべきところ、三年半も経過した後にスピーカーの占用許可手続がされ、また、スピーカーが架設されている装飾街路燈の道路占用、使用目的は「街路燈」としてのみ許可されており、本件は目的外使用である。)、及び有線電気通信法三条一項の「有線電気通信設備を設置しようとする者は、・・・設置の工事の開始の日の二週間前までに、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。」との規定に違反している点(萩中通り商店会は、有線電気通信設備であるスピーカー及び音楽放送線を昭和六〇年七月ころ設置しておきながら、同法所定の届出がなされたのは三年余りも経過した昭和六三年九月二六日であった。)については、」を、同一一行目の「税務署が」の次に「昭和六二年一一月七日に」をそれぞれ加える。

第三争点に対する判断

当裁判所の争点に対する判断は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の事実及び理由の「第二 争点に対する判断」のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決三枚目の表九行目の「スピーカー」の次に「の設置は違法であり、これ」を加え、同一〇行目の次に改行して、次のとおり加える。

「ところで、控訴人の本訴請求は、騒音被害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求であるから、これが認容されるためには、右商店会のスピーカーによる騒音が受忍限度を超える程度のものであることが必要である。」

二  同表一一行目の「そこで、」の次に「騒音被害の程度について」を加える。

三  同裏一行目の「右主張」を「右騒音被害に苦しんでいる旨の主張」に、同二行目の「乙第四号によれば」を「乙第三ないし第五号証によれば、昭和六二年六月以降、萩中商店会は、装飾街路灯に取り付けたスピーカーによる宣伝放送時間を午前一〇時から午後六時までと自主的に規正し、また、同年八月ころには、控訴人が右スピーカーによる騒音苦情を区役所等に訴えたことから、控訴人の住居に最も近接した装飾街路灯のスピーカーの配線が切断され、同スピーカーからは音声が出ないように改善されたこと」にそれぞれ改め、同五行目の「できず、」の次に「また甲第三五号証(録音テープ)によっても、右スピーカーの音量が受忍の限度を超えているものとは認められず、」を加える。

第四結論

よって、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 越山安久 裁判官 赤塚信雄 裁判官 桐ケ谷敬三)

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